Google 日本語入力

すばらしい。Google 日本語入力が出たね。

辞書は新語が使えるみたいだから、その点だけはいいよね。あとはノイズが多くてどうかな。まあ、僕は辞書についてはよく分からない人なので気にしないでおこう。

とにかくすばらしいことなのは、この Google 日本語入力のリリースによって TAB キーによる補完という入力方法が主流になっていくだろうということだ。一部の人たちにとって、TAB キーを用いた補完方法というのは、ごくごく普通でありふれたものだった。もちろん日本語入力に限った話じゃない。僕が普段から使っているものといえば、シェルでのコマンド名やファイル名、Emacs でのコマンド名のそれであったりする。とにかく TAB キーによる補完というのはありふれているはずだ。

日本語入力といえば、かれこれ 10 年くらい Emacs 上の SKK を使ってきた。DDSKK というのは TAB キーによる補完が効くので、どんどん自分のタイピング能力が衰えていくのを感じていた。なにしろ、自分の名前を入力しようと思ったら、最初の 1 文字を入れて TAB キーを押すだけだからね。自分の名前すら最初から最後までタイプすることがなくなっていた。

そういう状況が怖くなり、あえて MS-IMEAnthy を使うよう心掛けるようになった。Emacs 以外の環境でリアルタイムなチャットが必要な場合があり、衰えたタイピング能力では付いていけなくなりそうだったからだ。だから、SKK の設定がどんどん貧弱になっていった。悲しい時代だった。

しかし、今回の Google 日本語入力で時代が変わった。ようやく補完に満ちた時代が一般に届くようになった。というか補完機能のない日本語入力など前時代のものと言い切れるようになった。僕は安心して MS-IMEAnthy から離れられる。

ただし、ATOK は違う。ATOK の入力支援と校正機能は使いこなしたい。ただ、英語キーボードでは使いにくそうなんだよな。困ったもんだ。

Google 日本語入力のすばらしさをもうひとつ挙げておこう。それはシンプルさだ。このシンプルさというのは Google 製品なのだから当たり前だと思うかもしれない。でも、このシンプルさというのは、とてもとても重要なんだ。この先の未来に出てくる新しいデバイスは、きっと入力方法が簡素なものとなるだろう。だから、ATOK のように日本語キーボードを前提としているようなインタフェースでは使いものにならない。限られたキーやボタンなどを数少ないタッチで操作しているにもかかわらず、広く豊かな言葉の世界を作り上げられなければならないんだ。間違いなく Google 日本語入力の本質はここだろうね。