金沢旅行

どうしても金沢 21 世紀美術館で行われているオラファー・エリアソン展が観たくて、かなりの強行スケジュールで金沢へ行ってきた。

原美術館やギャラリー小柳で観た作品の素晴しさがいつまでも心に残っているし、The Weather Project や The New York City Waterfalls の話を見聞きするに、足を運ばないわけにはいかない。さすがに海外での個展にまでは行けないけれど、国内で行われるとなれば話は別だ。多少の交通費など惜しくもない。

他の人が読んでも全く面白みのないエントリになるが、備忘録として残しておこう。

旅行の計画内容

とにかくオラファー・エリアソン展が観たいだけだった。

日程は後述する OSC 2010 Tokyo/Spring に合わせた。OSC の会場が山手線から遠い不便な場所だったため、金沢から夜行で戻り OSC の会場へ向かうといい具合だったためだ。

金沢周辺に詳しい人からレンタカーで加賀温泉郷まで足を延ばすといいと教えてもらったのだけど、もしかしたら雪になるかもしれないし、僕は雪道で車を運転したことがないので、今回はやめておいた。

交通チケットの手配

金沢への移動手段は、鉄道、バス、飛行機の 3 択だと思う。今回は夜行を使うことを考えていたので、飛行機は除外した。

本当は、『北陸フリーきっぷ』を使って寝台列車の『北陸』で上野と金沢を往復するつもりだった。『北陸』は 3/12 で定期運転を終えてしまうのと個室寝台には乗ったことがなかったというのが、その理由だ。それに、『北陸フリーきっぷ』を使うとかなりのお得感がある。

しかし、『北陸』のチケットは取れなかった。当然といえば当然なのかもしれない。2 月中ならば大丈夫だろうと思っていたのだけど、考えが甘かった。

ここで計画変更となり、行きは道中の景色が楽しめるよう朝一の鉄道にした。上越新幹線ルートだ。僕は、両親が富山県の東部の出身というのもあり富山あたりまでの風景というのは見覚えがあるのだけど、富山以西は未知の世界で景色くらいは見ておきたかった。

帰りは夜行バスにした。なんとなく OSC の会場へ近そうな気がした横浜経由を選んだ。もちろん、山手線内の駅へ向かう路線はいくつかあるけど。しかし、チケットを取った後に横浜からの経路探索をしてみたら、乗り換えが多いし時間もかかることが分かり、がっかりした。まさか自分の地理感覚がこんなに鈍いのかという意味も含む。

降車地を横浜駅にしたのはもう 1 つ理由がある。横浜駅の隣りに早朝でもやっている風呂屋があったことだ。でも、八王子や新宿にもあるでしょうね、はい。

上野駅で見た『北陸』。もちろん乗ってない。




行き

『Max とき 303 号』と『はくたか 2 号』に乗った。上野駅 7:06 発、金沢駅 10:53 着で、いわゆる速達列車の組み合わせだ。どちらの列車も停車駅が少ない。前述の通り、僕は富山県東部の駅で乗り降りすることがあるのだけど、通過する『はくたか』の方が多い駅なので、東京から富山や金沢を最速で結ぶような『とき*1』と『はくたか*2』にほとんど乗ったことがなかった。だから、大宮から越後湯沢まで停まらない『Max とき 303 号』の速さにはちょっと驚いたし、ほくほく線内で信号待ちのない『はくたか 2 号』はうらやましいと感じた。だって、僕が乗る『はくたか』はひどいときには信号所で 10 分以上待たされることもあったしね。

とにかく僕の興味は富山駅以西の風景だ。全体的には特別な風景ではなかったけど、高岡駅周辺はなんともいえない風景でわりと強く印象に残った。悪い言い方をすれば、古くさくて、まあボロい。新幹線が通らない駅とその周辺はこんなことになってしまうのか、という感じ。駅舎自体は建て替えているようだけど、ホームはボロいよね。周囲のビルも、まあこれくらいにしておこう。覚えていないけど、手元のメモには「ホテルは綺麗だ」とあるな。

でも、民家とか街並みを見ると歴史の重みを感じさせるいい雰囲気なのだ。小綺麗な街になってしまった富山と比べれば、とても魅力を感じた。今度は、氷見と城端と合わせて高岡にもぜひ行きたい。

金沢着

見事に雨模様。脇目も振らずに金沢 21 世紀美術館へ直行すべくバスへ乗った。富山に毛が生えた程度の街かと思っていたが、意外にも大都会な雰囲気。わりと驚いた。そりゃ新幹線を通したくもなるわな。

金沢 21 世紀美術館にて

オラファー・エリアソンは、大雑把にいうと「光」を操るアーティスト。光には「色」と「影」が含まれるし、実際には、「風」「水」「波」「霧」「音」なども対象としている。物理の素養がある人ならばなるほどと思うだろうし、たぶん嫉妬するんじゃないかな。

僕は学芸員ではないし、例え上手でも褒め上手でもないから、うまく説明することはできない。空間そのものが作品と化したインスタレーションが多いので、どんな作品なのか知りたいのであれば、その空間へ飛び込んで溶け込むしかない。

うまいコメントのしようがないので省くけど、『動きが決める物のかたち』『水を彩るあなたの水平線』『あなたが創りだす大気の色地図』の 3 つは観ておくといい、というか感じておきたいところだね。

展示の最初のほうは原美術館やギャラリー小柳で観たことのある作品に近くて、それほどわくわくしていなかったのだが、進むにつれて途中で気分が変わった。上の 3 つは、なんとかして観たほうがいいね。

展示を 2 周して、ミュージアムショップへ移動。この展示のカタログはまだ完成していないとのことで、ちょっとがっかり。代わりにゲルハルト・リヒター展のカタログを購入。金沢 21 世紀美術館独自のカタログがあることは知らなくて、ちょっと得した気分になった。

カタログはナディッフあたりで買えるんですよね、きっと。

それとポストカードを数枚ほど買ってみた。この展示のものと、レアンドロのプール、リユック・タイマンス、須田悦弘のものを選んでしまった。観光旅行のせいか、どうも財布の紐が緩すぎたりする。普段は絶対にポストカードなんて買ったりしないのだけど。


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素晴しい展示だったし、金沢 21 世紀美術館は地方とは思えない立派なものだし、強行スケジュールでも来てよかったと感じた。



昼食

当初の予定では金沢 21 世紀美術館内のレストランで食べるつもりだった。しかし、平日だというのに混んでいて順番待ちをしていた。客層は女性が多く男が独りで酒を飲むような雰囲気ではなかったので、外で食べることにした。晴れていればテラスで食べられたのかもしれない。原美術館のような雰囲気でビールやワインを飲みたかったのだけど。


美術館を後にし、カレー屋さんを探した。近頃は「金沢カレー」なるものが流行っているそうなので、本場で味わうのもいいだろうと思ったからだ。しかし、金沢駅や中心部には有名な『チャンピオンカレー』だとか『ゴゴーカレー』がない。『ゴーゴーカレー』の姉妹店である『カレーハウス・ターバン』が金沢 21 世紀美術館の近くにあるというところまでは調べておいたので、小さい折りたたみ傘を差して探しに出た。

残念なことに目的のお店とは反対の方向へ進んでしまい、道に迷ってしまった。広い通りを見つけてバス停を探し、なんとか金沢駅行きのバスに乗ることができた。

バスの車内から『カレーハウス・ターバン』を見つけることはできたのだけど、たまたまだと思うが「Closed」という看板がかかっているように見えた。なので、お店近くのバス停で降りずにそのまま金沢駅まで戻ることにした。お店の中は明るかったので、たぶん早めの昼休みなのだと思う。いや違う。きっと見間違いだろう。

結局、昼食は観光途中に見つけた『8番ラーメン』で食べた。担々麺と餃子だ。あまりに無難な味というか本当に特徴がない。これが特徴なのだと思う。もう少し麺に力が欲しいところだけど、これも大事な特徴なんだろう。



観光

金沢駅で観光情報を手に入れた。

結果的に観光周遊バスで茶屋巡りをした。意識して茶屋巡りをしたわけではなく、いくつかのバスを乗り継いでいたらそうなったというだけ。あまりに計画性がない。

『金沢周遊バス』と『金沢ふらっとバス』という観光に使えるバスがあったので、雨というのもあり午後は何度もバスに乗った。さすがに歩き回るような状況ではなかった。

最初に向かったのは『にし茶屋街』。金沢三茶屋街の 1 つだそうですが、観光客は僕以外に 2 人くらいだったかな。完全に訪れる時期というか時間を外したとしかいいようがない感じ。映画のセットのような雰囲気。

昼食を食べた後に『長町武家屋敷跡』を通るバスに乗った。このバスは用水沿いの細い道を通る。歴史を感じさせる塀を見たとしかいいようがない。雨じゃなければバスを降りて歩き回ったんだけど。

その後に金沢城公園をぐるっと周るようなバスに乗った。景色を眺めていたわけだけど、改修中の建物が多くて、これまた時期を外したという感じ。

このバスを降りたのは『ひがし茶屋街』というところ。ここはかなりよかった。

『ひがし茶屋街』の入口に『ひがし茶屋休憩館』という昔の古い民家があり、そこにボランティアの案内員の方々がいて、いろいろと説明をしてもらえた。もちろん、江戸時代の加賀百万石にまつわる将軍家とか天皇家とかのエピソードを聞かせてもらえたんだけど、興味深かったのは、なぜこういった茶屋街が残っているかという話。要するに空襲を受けてないということらしい。ちなみに、『にし茶屋街』が映画のセットのような感じになっていたのは、区画整理をしたからだそうだ。あと、女の子の前では言わなかったのに、僕の前では「石畳であるところが吉原とは文化が違う」と教えてくれたのも好印象。

通りが 3 本あるから 3 本とも歩いてみてくれといわれたので歩いた。






何やら撮影中。



実はこれも撮影中。左に歩いている人を右で隠れぎみのカメラで撮っていたみたい。

『ひがし茶屋休憩館』でぜひ『主計街茶屋街』へも行ってほしいといわれたので、行ってみた。話によると京都に京都らしい街並みが残っていないから、ここで映画の撮影をしたとのこと。『ひがし茶屋街』と比べると観光地化してない感じかな。着物を着たお姉さんがまさに出勤するところを見かけたりして、観光客として踏み入れていい場所なのかと思うくらいだった。

そして金沢駅へ戻った。

夕食

雨の中、屋根のないバス停に長い時間立ったままでいたせいで、足元だとか上着の袖がずぶ濡れだった。

金沢駅は街の中心地ではないようだが、またバスで移動するのも面倒なので、金沢駅で夕食を取ることにした。

とりあえず金沢百番街に入りお店を探してみたが、金沢らしいお店はすでに満席だったため、銀座ライオンへ入った。金沢ローカルなメニューがあるため一応セーフということにしておきたい。

画像はないのだけど、豆腐を一丁そのまま揚げた油揚げがおいしかった。


しかし、金曜日の夜にしてはお客さんが少ないかな。天気が悪いのと時間が早かったからかもしれないけど。

暇つぶし

雨だし道は混んでいるので駅前から動く気がしない上に満腹だったので、駅の近くのイオンとマクドナルドで時間をつぶした。全く金沢とは関係のない時間であった。

帰り

泊まることすらなく、帰りは夜行バスだ。上信越道を通るものだと思っていたら、米原経由で驚いたりした。シートは 3 列だったけれども、真ん中の列に当たってしまったため、寝るときに右にも左にも寄りかかれないので疲れた。どこかの SA か PA で休憩した後は、運転席と客席の間にカーテンを引いてしまうため、完全に車内から外は見えない状態で、どこを走っているのかさっぱり分からなかった。気がついたら横浜に着いていた。

横浜着

バスを降りてそのまま風呂屋へ向かう。

ちょっと風呂屋という表現はおかしい。スカイビルの 14 階にある『スカイスパ』へ行った。

携帯電話を充電しておきつつ、のんびり風呂やサウナへ入り、休憩室でぼーっとテレビを見た。周りには寝ている人がいっぱい。

8 時ちょっと前まで休憩して、OSC の会場となる明星大学へ移動。

*1:昔は『あさひ』だったよね。

*2:昔は『北越』とか『白鳥』を使っていたけどね。