マンガ微積分入門

どうみても中高生や初学者向けの本だ。いまさらこのような本を読んでいることを知られるのは恥ずかしいことかもしれないが、一応まとめておく。

マンガ・微積分入門―楽しく読めて、よくわかる (ブルーバックス)

マンガ・微積分入門―楽しく読めて、よくわかる (ブルーバックス)

いわゆる教科書ではなく、こういう読みものを敢えて読んだのは、微積分の心というか気持を知りたかったからだ。もう少し具体的にいうと、「近似」の概念を歴史的な経緯を踏まえておさらいしておきたかった。世の中には近似の概念で満ちている。この文章自体、僕の頭の中の近似である。一般化された近似の概念の基礎ともいえる微積分は押さえておかねばならない。

この本は科学系の読みものとして定番であるブルーバックスの一書であるが、マンガだ。しかも、昔のものなので絵はとても古くさい。時代を感じさせる話題があるけれども、微積分の要点はしっかり押さえられていると思う。

ただ、読むにはある程度の忍耐が必要だろう。基本的に見開き 2 ページにつきボケとツッコミが入るので、話の流れが止まってしまい、かなりのしんどさを感じた。とはいえ、3 章以降になると内容が面白くなるので、1、2 章を我慢すればなんとかなる。

本書で一番大事な主張は、「積分微分の逆演算」であるという定義が積分概念の習得を妨げている、というあたりだろう。つまり「微分はグラフに接線を引く作業」で「積分は曲線で囲まれた部分の面積を求める作業」であるということ。

僕は高校時代に「積分微分の逆演算」という教育を受けたので、積分に対する理解が誤っていたようだ。これは教育のせいだけではなく、僕自身の無知のせいでもある。僕は微分あっての積分と理解していたし、積分は計算が面倒な分野と思っていて、高度な積分は独力では理解できないと諦めていた。もし、積分微分より 2000 年以上も前に生まれた概念であることを知っていたら人生が変わっていたかもしれない。というのは、大学で所属する研究室を計算機科学方面にした理由が積分の出来不出来だったからだ。今思えばたいした内容ではないのだが、当時は視野が狭かった。

とまあ、いろいろ思うところもあってこの本を開いたわけだ。昔の自分に足りなかったものを探しているのかもしれない。